クレーム対応の基本

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弁護士 堀江 哲史

1979年 三重県桑名市生まれ
2002年 立命館大学法学部卒業
2010年 旧司法試験最終合格
2012年 弁護士登録(愛知県弁護士会所属/名古屋第一法律事務所所属)
2020年 ミッレ・フォーリエ法律事務所設立

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飲食店の顧問業務を扱っていると、クレーム対応についての相談を受けることがあります。

飲食業は、お客様と店員が、直接に接する時間が長いことから、クレームを受ける機会が多い業種といえそうですが、もちろん、クレームは飲食業に限るものではありません。 今日は、クレーム対応の基本について、お話をします。

目次

不当なクレームと正当なクレーム

「クレーマー」という言葉には、あまり良いイメージをお持ちでない方も多いかもしれません。

この言葉には、「過剰な要求や抗議をする人」というイメージが込められているように思います。

しかし、顧客から寄せられる批判や抗議が、全て過剰なわけではありません。

会社側に原因があり、誠実に対応すべきであるにもかかわらず、「過剰な要求」扱いをしてしまうなど、対応を誤ってしまうと、さらなる抗議や「炎上」という事態を招きかねません。 正当なクレームと不当なクレームの線引きが重要です。

クレーム対応の初動で大切なこと

線引きが重要とはいえ、お客様からのクレームが正当か不当かは、最初の段階では分かりません。

そのため、初動の段階では、ご意見をいただいたことについての感謝の気持ちを伝え、誠実な態度で臨むようにしましょう。

ただし、すぐに非を認めるというわけではありません。不容易な約束もしないようにしましょう。

お客様の話をしっかり聞き、クレーム内容を明らかにすることが初動段階でやるべきことです。 5W1Hを軸に聴き取り、クレーム内容を客観的に整理します。その際には、話の途中で反論や弁解をするのではなく、まず一通り聞き取ることが望ましいです。

クレーム内容についての調査と検討

クレーム内容を聞き取ったら

①その内容が事実として正確かどうかを調査します。

事実が正確であった場合、

②クレーム内容が、常識的か、あるいは過剰・非常識なものか

③①や②にかかわらず、クレームの態度や方法が、常識的か

を検討しましょう。

気をつけた方がいいのは、仮に①お客様の訴える事実が正確で、②そのことについて会社に非があったとしても、そのクレームの方法が、営業妨害や侮辱、強要になることが許されるわけではないという点です。

声の大きさや発言内容、時間、頻度、金銭の要求なども、記録をしておくことが望ましいです。場合によっては、スマートフォンなどで録音をすることも有効です(会話の当事者が録音をすることについて、相手方の承諾はいりません)。

その後の対応

クレームが正当である場合には、これを真摯に受け止めて、賠償や補償など、誠実に対応すべきです。

他方、不当なクレーマーに対しては、相手方の話を聞きながらも、要求に対しては、丁寧に拒絶をし、諦めさせることが目的となります。この場合には、弁護士等専門家との連携も検討するべきでしょう。 また、正当なクレームに対しても、賠償の内容が妥当なものかについて、専門家の意見も踏まえて判断することが望ましいといえます。

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