会社や経営者に対する誹謗中傷対策

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弁護士 山本 律宗

2014年12月 弁護士登録(愛知県弁護士会所属)/名古屋第一法律事務所所属

ネット上に気軽に画像や動画と共にコメントをいつでも、どこでも、だれでも投稿できる現在においては、会社や経営者に対する誹謗中傷等がネット上でなされることは日常茶飯事といっても過言ではありません。

ネット上での誹謗中傷等を放置しておくと、商品価値の毀損や集客、採用など経営のあらゆるところに影響が生じかねません。そのため、適切に対応することが望まれます。

ここでは、このような会社や経営者に対する誹謗中傷対策としてどのようなことが可能なのかについて見ていきます。

目次

誹謗中傷に対する対策

投稿の削除要請

まずは、単純に投稿を削除してもらうことが考えられます。

真っ先に思いつく方法は、投稿を行った者自身に対して削除要請をすることです。例えば、ツイッターやFacebook等に投稿がなされた場合、その投稿したアカウントを有する投稿者に対して削除するよう求めることです。

しかし、この方法には、投稿者が実名を使用し、正しい連絡先を公開している様な場合には取り得る方法ですが、基本的にアカウントの登録の際に入力する情報は、当該アカウントを管理しているSNSの管理者のみが把握しており、他の利用者には分からないようになっていることが通常ですので、早々に暗礁に乗り上げます。

では、これでお手上げかというとそうでは無く、SNSの管理者に対して、投稿者の情報を開示してもらう請求を行ったり、また、投稿者が経由したプロバイダに対して投稿者の情報を開示してもらって特定していくことができます。

もっとも、限界はありますし、多くのプロバイダやSNS管理者は法的手続をとらないと対応しないという態度をとっていますので、なかなか骨の折れる作業ではあります。無事に投稿者が特定できれば、投稿者に対して削除をするよう任意又は法的手段を講じて求めていくことができます。

次に、SNS管理者に対して削除を依頼する方法も考えつくところです。この場合、SNS管理者が用意した削除依頼方法によって削除を依頼する方法が最も簡便な方法です。

しかしながら、この方法では、SNS管理者が削除を認めない場合には削除されません。多くのSNS管理者は、ガイドラインを設けてその中で削除すべきか否かを判断し、基本的にグレーのものについては削除はしません。そうなると、こちらも法的手段を講じて、削除を求めることになります。

検索エンジンに引っかからないようにする

また、検索エンジン自体に引っかからない様にする方法もあります。

Yahoo!やGoogleの検索エンジンに引っかからなければ殆どの誹謗中傷等は、ネット上には存在するものの結局、人の目には触れないと言うことになります。そこで、検索エンジンからの削除を検索エンジンを管理する者に対して、依頼する方法もあります。もちろん、利用者の利便性や有益性などとの関係で、削除をしてもらうのはハードルは高めです。

逆SEO対策という方法もあります。検索エンジンにヒットしない様にするのは難しいので、順位を下げると言う方法です。

通常のSEO対策がヒットする順位を上げる方向での対策であるのに対して、その逆という意味です。

これは、検索エンジンを管理する者への働きかけではなく、ブログを新たに作成したり、会社や経営者をプラスに評価する記事をあげるという様な方法で、誹謗中傷等の記載された投稿の順位を事実上、下げていくというものですので、相当の時間や労力がかかります。そのため、SEO対策や逆SEO対策を行う企業もありますので、業者に依頼することも考えられます。

行動を起こす前に注意すべきこと

経営者や会社に対して誹謗中傷等を行う投稿者は、投稿を行うことで経営者や会社が困る結果を望んでいます。そして、そのネタがあれば何でも投稿の題材にします。例えば、投稿者が特定でき、削除を求める際に発送する書面及びその内容、その言動自体もまた投稿の題材にされかねません。

そのため、行動を起こす場合でも、細心の注意を払ってことを進めることがあることを肝に銘じておいて頂ければと思います。

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