やらせの口コミと法律上の問題

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弁護士 堀江 哲史

弁護士 堀江 哲史

1979年 三重県桑名市生まれ
2002年 立命館大学法学部卒業
2010年 旧司法試験最終合格
2012年 弁護士登録(愛知県弁護士会所属/名古屋第一法律事務所所属)
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弁護士 堀江 哲史

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Q
私の会社では、飲食業の部門があり、複数の飲食店を運営しています。そのうちの一店舗が、某飲食店専門の口コミサイトで高評価のお店として取り上げられたところ、連日、予約が殺到し、売上げが大幅に伸びています。そこで、他のお店についても、口コミサイトで高評価になるように、自分たちで高評価のコメントをしたり、代行業者に依頼しようと考えていますが、何か問題はあるでしょうか。

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「口コミ」サイトとは

まず、「口コミ」サイト、とはどのようなものかを、確認しましょう。

消費者庁によると、「口コミ」サイトとは、人物、企業、商品・サービス等に関する評判や噂といった、いわゆる「口コミ」情報を掲載するインターネット上のサイトを指す、とされています(平成23年10月28日 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」平成24年5月29日改訂)。

そして、「口コミ」サイトの例として

  • 「口コミ」情報の交換を主な目的とするサイト
  • 旅行情報、グルメ情報、商品情報等を掲載するサイトが、サービスの一環として、旅館、飲食店、商品等に関する口コミ情報を交換するサービスを提供するもの
  • ブログ等、個人(有名、無名を問わない。以下、ブログを運営する者を「ブロガー」という。)が情報を提供するウェブサイトで、ブロガーの「おすすめ商品」等に関する情報提供が行われるもの

などが挙げられます。

芸能人などの有名人のブロガーによるブログで、「おすすめ商品」等に関する記事が掲載されることがありますが、あのようなものも「口コミ」サイトに該当するということになります。

「口コミ」サイトに掲載された「口コミ」情報は、インターネット上のサービスが一般に普及し、スマートフォン利用者が増加傾向にある現代において、消費者が商品・サービスを選択する際に参考とする情報として、影響力を増しています。

そのため、宣伝のツールとして、「口コミ」サイトの利用を考えることは、当然の流れなのかもしれません。

「口コミ」サイトとやらせ宣伝

それでは、「口コミ」サイトに関する法的規制について、みていきましょう。

まず、根本的な問題として、自分のお店の口コミを自分で書くこと自体はどうでしょうか。

これは、法律的には何も問題はありません。

但し、自分のお店の口コミを書いていることが分かった場合、いわゆる「自演」「ヤラセ」であるとして、炎上等のトラブルや、マイナスイメージにつながることもありますので、これはこれで注意が必要ではあります。

では、どのような口コミも法律上は問題ないのでしょうか。

これについて、2018年7月24日現在、我が国では「口コミ」サイトそのものを対象とする法規制はないのですが、何をやってもいいわけではありません。「口コミ」サイトを広告的に利用する場合には、景品表示法という法律が問題になるからです。

この点について、消費者庁は

  1. 商品・サービスを提供する事業者が
  2. 顧客を誘引する手段として、「口コミ」サイトに「口コミ」情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ
  3. 当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合

には、景品表示法上の不当表示として問題となる、としています。

つまり、事業者が、自己の供給する商品又は役務の内容について「口コミ」をする場合には、景品表示法上の「表示」に当たり、同法の適用を受けるということです。

例えば、以下のような「口コミ」を、事業者自らが行う場合には、不当表示として問題になります。

・グルメサイトの口コミ情報コーナーにおいて、飲食店を経営する事業者が、自らの飲食店で提供している料理について、実際には地鶏を使用していないにもかかわらず、「このお店は△□地鶏を使っているとか。さすが△□地鶏、とても美味でした。オススメです!!」と、自らの飲食店についての「口コミ」情報として、料理にあたかも地鶏を使用しているかのように表示すること。

上のような「口コミ」は、本当は地鶏を使っていないのに「△□地鶏をつかっているとか。さすが△□地鶏」と書いており、これを見る一般消費者に、「△□地鶏」を使っているお店だと誤認させるものです。

このような「口コミ」を、事業者が自ら書いてしまうと、景品表示法の不当表示となり、行政処分の対象になる他、行政処分に従わない場合には、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」になることがあります。

この不当表示は、代表者が自分で書き込まず、従業員に行わせた場合でも、適用の対象になるので、お気をつけください。

また、事業者が「口コミ」投稿の代行業者に依頼して、高評価に作為的に変更させることについても問題があると思われます。

このように、「口コミ」サイトの広告利用は、方法や内容によっては、重大な法的責任が発生することもありますので、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めた方が良さそうです。

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弁護士 堀江 哲史

1979年 三重県桑名市生まれ
2002年 立命館大学法学部卒業
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