元請け会社からの支払いの遅れと下請法

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弁護士 堀居 真大

平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属
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期日までに納品したのに、元請け会社が「今、ちょっと資金繰りが厳しい」「2週間だけまって欲しい」などと言って、約束された日までに代金を支払ってくれないことがあります。

本来であれば「約束違反だ!」と糾弾するところですが、元請け会社との関係が悪化すると今後の受注に影響が出るのでは…などの立場の弱さから、応じざるを得ないこともあると思います。

しかし、このような力関係を利用した支払い時期の引き延ばしは、下請法が禁じている支払遅延として違法行為となります。ここでは、このような元請け会社からの支払いの遅れと下請法の規制についてみていきます。

目次

下請法と支払い遅延

下請法は、元請事業者による理不尽な要求、不当な不利益から下請事業者を守るための法律です。

①取引内容と②資本金の区分という二つの観点から決められた一定の下請取引について、元請業者が守るべき義務や行ってはならない行為について定めています。(下請法の適用対象については詳しくは下記記事を参照してください)

この下請法の第4条1項2号では,禁止される行為として

「下請代金を支払期日の経過後なお支払わないこと」

つまり「支払遅延」の禁止が定められています。元請会社が下請け会社に対して、決められた期日を経過しても代金を支払わないと、下請法違反となる場合があるのです。

もっとも、代金の支払いが期日を経過した場合すべてが「支払遅延」として下請法違反になるわけではありません。

この点について、公正取引委員会は「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を定め、下請法違反となるような支払い遅延とのはどのような場合かについてホームページで公表しています

運用基準が定める支払遅延の例

同運用基準がHPにて公表している支払い遅延の例は、 具体的には下記のようなものです。

ア 支払期日が給付の受領日から60日以内に定められている場合に,その定められた支払期日までに下請代金を支払わないとき。

イ 親事業者と下請事業者との間で支払期日が給付の受領日から60日を超えて定められている場合。

ウ 支払期日が定められていない場合に,その給付の受領日に下請代金を支払わないとき。

エ 「毎月末日納品締切,翌々月10日支払」等の月単位の締切制度を採っている場合に,締切後30日以内に支払期日を定めていないことにより,給付の受領日から60日目までに下請代金を支払わないとき。

オ 「毎月末日検収締切,翌月末日支払」等の検収締切制度を採っている場合に,検収に相当日数を要したため,給付の受領日から60日目までに下請代金を支払わないとき。

カ  親事業者と下請事業者との間で,支払期日が金融機関の休業日に当たった場合に,支払期日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面で合意していないにもかかわらず,あらかじめ定めた支払期日までに下請代金を支払わないとき。

キ 親事業者が手形を交付することによって下請代金を支払った場合に,割引を受けようとした下請事業者が金融機関において手形の割引を受けられないとき。

基本として、アにあるとおり、支払期日は給付の受領日から60日以内でなければなりません。給付の受領日から60日を超える支払期日は、同運用基準においては下請法違反であり、支払期日は60日以内となります(イ、エ)。

支払期日を定めていない場合には、さらに厳しく「給付の受領日」に代金を支払う必要があります(ウ)。支払期日を定めておかないと、下請け業者が不安定な状態におかれるからです。

検収に相当日数を要する場合でも(オ)、金融機関の事情による場合(カ、キ)でも、同運用基準に基づけば、それらは代金支払期日を遅延する合理的理由にはなりません。

このように、下請法及び公正取引委員会が定める運用基準は、元請会社の下請会社に対する代金支払いの遅延を厳しく制限しているのです。

下請法違反となる具体例

さらに同運用基準は、下記のような事例においても、違反行為であるとしています。

  1. ある元請会社が「検査完了をもって納入があったものとみなす」という運用をしているため、納付日から60日以後が代金支払い日となっていた場合
  2. ある元請会社が、ある商品について常に一定量が倉庫に保管されているように下請業者が納品しておくこととし、代金は商品を使用した場合に発生する使用高払方式を取り決めていたことによって、納品後60日後に代金が支払われない商品があった場合
  3. 下請事業者の請求書提出や伝票処理が遅れたことを理由として、給付受領後60日を超えて代金を支払った事例
  4. 納品された商品の検査に3か月を要したため、代金支払日が納品後60日を超えた場合

これらの事例をみると、元請会社が支払い遅延の理由をいろいろと言ってきた場合でも、よほどの理由(あるいは下請会社の落ち度)がない限り、下請法違反になることが多いことがわかります。

最後に

近時、原材料高やインフレ、急激な円安などで、特にメーカーなどにおいては一時的に資金繰りが悪化することが多く、そうした場合には元請け会社が、立場の強さを利用して、下請会社に対する支払いを遅らせることがあります。

しかし、小規模な下請会社にとっては、期待していた日に代金が支払われないことは会社としての死活問題です。力関係の弱い下請業者にしわ寄せがいくことはあってはあってはなりません。

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