顧問弁護士とは

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弁護士 山本 律宗

2014年12月 弁護士登録(愛知県弁護士会所属)/名古屋第一法律事務所所属

経営者として生きる道を選んだからには,会社を維持発展させ,事業を通じて自らが成し遂げたいことに邁進したいとお考えのことと思います。事業を進める上で、全てが順風満帆に進めば経営者としてこれほど喜ばしいことはありません。しかし,事業には,トラブルがつきものです。したがって、そのための備えが必要となります。

例えば,経営戦略上,リスクを負ってでも勝負を仕掛けなければならないがそのリスクできるだけ低減しておきたい又は平時からトラブルの芽をできるだけ摘んでおきたい、さらには、残念ながらお客様や取引先に迷惑をかけてしまったがそれによる損害を最小限に抑えておきたい等の希望を,経営者であれば当然お持ちの事と思います。それを可能にする方法の一つが顧問弁護士を持つということなのです。

目次

顧問弁護士とは

顧問弁護士は,企業が直面する様々な法律問題に関して経営者に法的な見解を示し,共に解決策を考え実行するだけでなく,未然にトラブルを防止するために法的な観点からのアドバイスを行う,いわば「会社の法務参謀」です。

顧問弁護士といってもその仕事内容は様々です。それは,各会社によって顧問弁護士に担って欲しい役割が異なるからでもあります。ですので,具体的に何を行って欲しいかについては,顧問弁護士になる弁護士との間で話し合って決めることになります。ここでは,一例を挙げておきます。

  1. 通常業務における法律相談
  2. 法令等の調査・報告
  3. 取引先との間で締結する契約書の作成や監修
  4. お客様や競合他社からのクレームへの対応や助言
  5. 就業規則や雇用契約書の作成や監修
  6. 労使紛争への対応や助言
  7. 債権回収やそれに伴うトラブル対応等々

顧問弁護士をつけるメリット

コストダウンを図り、本業に専念出来る

経営者が法務機能をも担おうとすれば,それにかける時間は膨大になります。そのため,本来の事業に割ける時間を削らざるを得なくなります。

経営者と同じく,会社を取り巻く外部環境や内部環境とを知った顧問弁護士がいれば,法務専属スタッフを置く必要がなく,法務機能を自社に持たせることが可能になります。これにより,経営者が法務に費やす時間を抑えることができるのです。つまり,顧問弁護士を付けることで,経営者が法務で悩む時間を減らし,本来の事業に時間を費やすことが可能となります。

また、中小零細企業が社内に法務機能を備えるためにはそのための社員を雇う必要があります。社員を雇えばその分人件費の負担は大きくなり,年間で数百万円程度の支出になります。また,その法務を担わせたい人材が必ずしも十分な法的知識を有していると限りませんし,教育をするとなればそれに係る費用もばかになりません。これに対し,顧問弁護士をつければ、新たに社員を採用するのと比べて大幅に安い費用で,かつ,法的知識を十分に備えた者に法務機能を担わせることができるのです。

顧問弁護士だからこその利便性

経営者が経営判断をする際,法律問題かどうか分からないけれど,「ちょっと聞いてみたい」,「どう考えたらよいのか」などの疑問に当たることは良くあります。

そんな時,顧問弁護士がいれば,電話やメールなどの適宜の方法できくことができます。これにより,経営者の経営判断も円滑になります。

また,普段から会社の外部環境及び内部環境をよく知った顧問弁護士に法的な支援を受けながら事業を進めることで,継続事業や新規事業から生じるトラブルを最小限に抑え,安心して事業を進めることも可能になります。さらに,事業を行う中で生じた経営資源を適切な手段で保全し,会社のシェア拡大や競争力強化につなげるための法的アドバイスを受けることもできます。

また,いざトラブルが生じ,弁護士を必要とした場合,経営者としては,対応してくれる弁護士を探し,その上で自社のことや自社を取り巻く環境のこと,そしてトラブルに至った経緯を事細かに説明していくなど,弁護士に対して自社のことを分かってもらうところからスタートする必要がありますし,そのための時間も必要です。

しかしながら,トラブルへの対応は待ったなしです。トラブルへの迅速な対応ができない会社は,お客様や従業員からしてもマイナスの印象でしかありません。また,迅速な対応ができないばかりに損害が拡大してしまうということもあります。普段から会社のことをよく知った顧問弁護士がいれば,トラブルへの迅速な対応を可能になり,損害を最小限に抑えることにつながります。

交渉窓口の一本化と負担軽減

トラブルが生じた後の対応は,事業を継続して行く上で重要です。しかしながら,何をどこまで話して良いのか,誤って良いのか行けないのか,相手の話はどこまで聞くべきか聞かざるべきか,賠償するとしてどこまですべきなのかなどが分からないし,判断する基準もなくて困ってしまうということは往々にして生じます。そんな時,顧問弁護士に相談することで,どのように交渉を進めていくのが良いのかについて適時適切なアドバイスが得られます。

もっとも,経営者にとってトラブルなどの対応を自らが引き受けることは大変な負担になります。そこで,顧問弁護士と相談し,顧問弁護士がトラブル等の対応窓口となることで,経営者や役員・従業員の負担を軽減することが可能になります。

経営者や従業員の個人的な問題も相談可能

経営者や従業員の方が抱える悩みは何も事業に関するものばかりではありません。一人の人間として生きている以上,男女関係や家族関係,交通事故や刑事事件など様々なトラブルに遭遇することもあります。そんな時,顧問弁護士がいれば,その様な個人的な問題についても法的アドバイスをしたり,事件処理に当たったりすることが可能になります。

顧問弁護士にかかる費用

顧問弁護士にどのような役割を求めるかによって,顧問料は変わってきますが、参考として、日弁連が2009年に公表した中小企業のための弁護士報酬目安をご紹介します。

これは日弁連が全国2000人余りの弁護士を対象に実施したアンケートの結果をまとめたものですが、これによると、相談方法や調査の要否にかかわらず月3時間程度の相談について月額顧問料の範囲内とする顧問契約を締結する場合に、月額顧問料を5万円と回答した弁護士が52.7%、3万円と回答した弁護士が33.5%、平均すると4万3017円という結果になっています。

地域や企業の規模、業種等に応じて変わってきますが,顧問弁護士について検討する際の参考にして頂ければと思います。

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