共同経営と株式の譲渡について

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弁護士 堀居 真大

1994年 三井海上火災保険株式会社入社(現 三井住友海上火災保険株式会社)
2011年 弁護士登録(愛知県弁護士会)/名古屋第一法律事務所所属

 

交通事故を中心とした一般民事を広く取り扱う。弁護士になる前は損害保険会社で勤務しており、中小企業や事業者の目線を大切にしたいという気持ちから、商取引全般、特に中小企業や個人事業者に関する法的トラブルに積極的に取り組んでいる。

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これまで、自分の会社の株式は全て社長である私が保有していました。しかし、このたび、事業拡大のため、同業者である知人を共同経営者として迎え入れることになり、株式も保有してもらうことになりました。どのようなことに気を付ければ良いでしょうか。

目次

株式を保有する意味

会社の新しい共同経営者が会社に出資して株主となることは珍しいことではありません。株式の価値は会社の業績アップに比例して増加するので、共同経営者が会社の業務を発展させることの強いモティベーションとなるからです。将来、会社が上場するようなことになれば、持株の価値が一気に高騰することもあり得ます。このような観点から、従業員に積極的に自社株式を保有させる制度を導入する会社も少なくありません。

株式の割合は非常に重要

しかし、会社の経営において「誰がどれくらいの株式を持っているか」という株式の所有割合はとても重要なことです。というのも、会社の経営における重要なことのほとんどは株主総会によって決められるため、株式の保有割合はそのまま会社の支配力となるからです。

例えば、役員の選任や解任、役員の報酬の決定などは「普通決議事項」ですので、株主総会で過半数の株主の賛成があれば議決されます。つまり、過半数株式を保有している株主は、役員の選任や解任、報酬金額の増減など、会社の経営に関する重要な事項を自由に決めることが出来てしまうのです。

さらに、会社の株式の3分の2以上を保有していれば、新株の発行や定款の変更など会社の経営の根幹に関わる事項を変更できるだけでなく、事業譲渡や解散の決議までできてしまうのです。

このように、会社の株式の保有割合は、会社の支配権の割合に直結する問題です。新たな共同経営者を迎える場合に、その後も会社のコントロールを行いたいのであれば、少なくとも51%の株式は自分が保有したままにしておくようにすることを強くお勧めします。

株主名簿を整備することが重要

会社設立時の株主(出資者)は定款に明記されますが、その後に株式が譲渡などされても、そのことが定款に記載されたり登記されたりすることはありません。そのため、会社の設立後に「会社の株主が誰か」を巡ってトラブルが起きることは珍しくありません。

このようなトラブルを防ぐため、あらかじめ株主名簿を作成して会社(本社)に備え付けておくことが重要です(会社法121条で義務付けられています)。そして、株式を譲渡したりした場合には、面倒でも必ず株主名簿を更新しておきましょう。(株主名簿について詳しくはこちら⇒株主名簿とは何か

ほとんどの中小企業では株式の譲渡には株主総会(あるいは取締役会)の承認が必要ですので、できることなら株式譲渡の承認をした旨の株主総会(取締役会)議事録を作成しておくことが望ましいです。 (株式の譲渡制限について詳しくはこちら▼譲渡制限株式とその譲渡方法

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