
弁護士 堀居 真大
平成6年4月 三井海上火災保険株式会社入社(現 三井住友海上火災保険株式会社)
平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属

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株主名簿とは
株主名簿とは、会社の株主の氏名や住所、保有株式数、株式取得年月日などが記載された名簿のことです。
株主名簿は、会社の規模や株主の数に関係なく、全ての会社が作成しなければならないとされています(会社法121条)。そして、作成した株主名簿は本店等に備えおき、株主や債権者が開示を求める場合には法律の定めに応じて閲覧させたり写しを交付したりしなければなりません(同125条)。
株主名簿を作成していないと100万円以下の過料に処せられると法律にはありますが(会社法976条)、小規模な会社や株主数の少ない会社においては株主名簿がほとんど作成されていないのが実情です。
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なぜ株主名簿を作成する必要があるか
株主名簿はとても重要な帳簿です。なぜかというと、「株主」とは「会社の所有者」であり、株主名簿は「会社の所有者が誰であるか」を法的に確定させるものだからです。
株主は、会社に対して大きな権力を有しています。たとえば、過半数の株式があれば役員や代表取締役を自由に選任、解任することができますし、3分の2の株式があれば会社を解散させることすら可能です。
会社経営における重要な事項のほとんどは株主総会によって決められます。なので「誰が株主であるか」ということが非常に重要なこととなります。
ところが、平成18年の会社法施行後は、株券は「不発行」が原則となり「発行すること」が例外となりました。その結果、多くの会社が株券を発行しないようになり「誰が株主なのか」がますます分かりづらくなりました。
このような事情から、誰が株主であるかを明らかにするため、会社法は株主名簿の作成を義務付けているのです。
株主名簿の作り方
では、株主名簿を作成するにはどうすれば良いでしょうか。
実は、株主名簿を作成することは別に難しいことではありません。特に決まった様式があるわけではないので、ワードやエクセルがあればすぐに作成できます。
必要な項目である「株式の種類」「株主の氏名・名称」「住所」「株式数」「取得年月日」(株券を発行する場合には「株券番号」)「備考」などを表にして、日付を記載し「上記、株主名簿の謄本であること間違いありません」などの文言を記載して会社名・代表取締役名を記名押印すればよいです。
株主は変わる可能性があります
もし、今、株主が代表者であるあなた一人だけだとしても、株主の変更はいつ起こるか分かりません。もし、既に複数の株主がいる場合には、株式の数や権利者などについてトラブルが生じる可能性もあります。
これらの将来の不測の事態に備えて、株式の譲渡に制限を加える規定を定款に定めておくこと(⇒詳しくはこちらをご覧ください▼株式譲渡制限とは)の他に、株主名簿を作成しておくことは有益です。
共同経営にするために株式を譲渡するという場合もありますが、この場合の注意点についてはこちら。
▼共同経営と株式の譲渡について