譲渡制限株式の譲渡手続きについて

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弁護士 堀居 真大

平成2年3月 岐阜高校を卒業後、同年4月慶應義塾大学商学部入学
平成6年4月 三井海上火災保険株式会社入社(現 三井住友海上火災保険株式会社)
平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属
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Q
私はある会社の株式を保有していますが、会社の定款の「株式の譲渡制限に関する規定」には「当会社の株式を譲渡するには株主総会の承認を要する」と規定されています。

こうした場合に、私が自分の持株を誰かに売るためには、どのような手続きが必要となりますでしょうか。

譲渡制限株式を譲渡するのに必要な手続き

多くの中小企業では、株式に譲渡制限が規定されています。▼譲渡制限株式とは

このような場合には、勝手に株式を譲渡することはできず、定款に定められた手続きを行う必要があります。

多くの会社が定める手続きは「取締役会の承認を得る」あるいは「株主総会の承認を得る」のいずれかだと思いますが、その他の細かい規定を定める会社もありますので、譲渡制限株式を譲渡する場合には必ず定款の内容を確認されることをお勧めします。同規定の内容は登記されていますので、現在事項証明書などで確認できます。

譲り渡す者からの譲渡承認請求

具体的な手続きとしては、株を譲渡しようとする株主が会社に対して、他人に株式を取得させることについて承認するか否かの決定を請求することになります(譲渡承認請求)。

このときには、①譲渡する株式の数、②株式を譲り受ける者の氏名又は名称を明らかにする必要があります(会社法138条1号)。

譲り受けた者からの譲渡承認請求

既に当事者間で株式の譲渡が行われてしまった場合にはどうすればよいでしょうか。

判例では、会社に承認を得ずに譲渡制限株式を譲渡した場合、譲渡の当事者間では譲渡は有効ですが、承認を得ない限り会社に対しては株主であることを主張できないと解されています。なので、いくら当事者間で譲渡が有効に成立したとしても、譲り受けた人は会社に承認を求める必要があります。

ただ、この場合には、原則として、譲受人単独では証人請求ができず、譲渡人である元株主と共同で証人請求を行う必要があります(会社法137条2項)。

例外として「利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合」(会社法施行規則24条、一例として承認請求をすべきことを命ずる判決が出た場合など)には、単独で承認請求をすることができます。

譲渡承認請求に対する会社の対応

このように、譲渡人あるいは譲受人から譲渡承認請求がなされた場合には、会社は株主総会あるいは取締役会で決議することになります。

会社が譲渡を承認した場合には、決定内容が請求者に通知されます。承認の期限は譲渡承認請求の日から2週間以内とされていて、この期間内に会社が何も通知をしなければ、会社は譲渡の承認の決定をしたものとみなされてしまいます(会社法145条)。

なので、承認請求をした場合には、承認通知が届くか、あるいは2週間以内に不承認の通知が届かなかった場合には、会社から株式譲渡を承認されたということになります。

会社が不承認とした場合

では、会社から不承認の通知が届いた場合には、あきらめるしかないのでしょうか。

株式を手放したいにも関わらず保有し続けなければならないというのは株主にとって酷ですし、会社法が原則とする「株式譲渡自由の原則」にも著しく反します。

なので、株主は、譲渡承認請求の際にあらかじめ「不承認の場合には会社が買い取ってくれ」と請求しておくことができます。この場合には、不承認の決定をした会社は、他の買取人を探すか、会社で買い取らなければなりません。

このようにすれば、承認請求をした人は、自分が望む者に株式を譲ることはできませんが、保有する株式を売却して換価することはできるのです。

まとめ

以上の通り、譲渡制限規定が定められた会社の株式は、譲渡する際には会社に承認を求める必要があります。しかし、会社から不承認とされた場合にも、会社に買い取らせたり買取人を指定させるなどの方法で、売却することはできるのです。

なお、相続で株式を取得する場合には、もう少し問題が複雑になります。
譲渡制限株式に相続が発生した場合にどう対応すべきか

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平成6年4月 三井海上火災保険株式会社入社(現 三井住友海上火災保険株式会社)
平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属
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