フランチャイズを脱退・解約するときに何に注意すべきか

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弁護士 堀居 真大

平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属

学習塾のフランチャイズに加盟しているのですが、フランチャイズ本部に対して色々不満があり、このままフランチャイズに加盟しているメリットが感じられません。フランチャイズを脱退して、自分の名前で学習塾事業を始めたいと考えていますが、どのような方法で行えばよいでしょうか。また何か注意すべき点はありますでしょうか。

目次

フランチャイズの脱退・解約方法

加盟店が、フランチャイズ契約を締結したものの、様々な理由により脱退・解約したいと考える場合があります。

フランチャイズ契約を終了させる方法としては、大きく分けて

  1. 契約期間満了により契約を終了させる場合(契約の不更新)
  2. 契約期間途中で契約を終了させる場合

とに分けることができます。

期間満了により契約を終了させる場合

フランチャイズ契約においては、多くの場合、契約期間が定められています。その契約期間が満了することによって契約は終了します。
   
本来であれば、単に契約期間が満了しさえすれば、特段何も行動を起こさなくても、自動的に契約は終了することになります。

もっとも、通常のフランチャイズ契約においては「契約期間満了の●ヶ月前に契約を更新しない旨の通知を行わない場合には、契約は自動的に更新される」といった内容の自動更新条項が定められています。

つまり、「更新をしない」という通知を期限内に行わないと、契約が更新されてしまい、継続することとなってしまうのです。

そのため、期間満了により契約を終了させたいのであれば、フランチャイズ契約書をよく読んで、契約期間の満了日と、いつまでに不更新を通知をしなければならないのかを確認し、期限に遅れないように通知することが必要です。

不更新の通知は、通常、書面によることが求められている場合がほとんどです。また、もし、書面によることが条項上求められていなくても、後で争いにならないように、内容証明郵便などの書面で明確に通知しておく必要があります。

例えば、次のような文面で通知すれば良いでしょう。

弊社と貴社との間のフランチャイズ契約は、★年★月★日に契約期間が満了となりますが、弊社は、契約を更新致しませんので、その旨ご通知致します。

契約期間途中で契約を終了させる場合

さて、契約期間満了日が近づいているのであれば、上記の方法で契約を終了させれば良いのですが、問題は契約期間満了日がだいぶ先のため、それよりも前に、契約期間途中で契約を終了させたい場合です。

中途解約条項による解除

この場合、まず確認すべきなのは、フランチャイズ契約の中に、加盟店側の都合で期間途中に一方的に解約することを認める「中途解約条項」があるかです。

もし、このような中途解約条項があるのであれば、これに従って契約を終了させることを検討することになります。

もっとも、フランチャイズ本部としては、契約が期間途中で終了すれば、以後、契約期間内に入ってくる予定であったロイヤリティ等も入ってこなくなります。そのため、フランチャイズ契約上、こうした加盟店側からの中途解約が認められている場合でも、違約金や解約一時金など、一定の金銭の支払いを条件としている場合が少なくありません。

こうした違約金の支払いに納得がいくのであれば問題ないのですが、加盟店としては契約を終了せざるをえなくなった原因がフランチャイズ本部の側にあると考えているような場合には、とても納得がいかないというケースも多いでしょう。
 
こうした場合には、中途解約条項に基づく解除ではなく、次の、債務不履行解除(フランチャイズ本部に何らかの債務不履行があることを理由とする契約解除)や合意解除(フランチャイズ本部との合意により、契約を終了させること)が可能かを検討することになります。

また、フランチャイズ契約に中途解約条項が特段定められていないという場合も、同様に債務不履行解除や合意解除が可能かを検討することになります。

債務不履行解除

フランチャイズ本部に、フランチャイズ契約上定められた義務の違反(債務不履行)があるという場合には、これを理由に契約を解除することができます。これを債務不履行解除といいます。

債務不履行解除について、フランチャイズ契約上に規定がある場合も、ない場合もありますが、たとえ規定がなくとも、民法の一般原則に基づき解除が可能です。

もっとも、フランチャイズ契約は,継続的契約関係であることから、軽微な違反をもって簡単に解除ができるとすると、不合理な事態となってしまいます。

そこで、裁判例の多くは、債務不履行解除が認められるためには契約の当事者間の信頼関係が破壊されるような事情を要するとしています。信頼関係が破壊されているかどうかについては、義務違反行為がフランチャイズ契約の本質にかかわるものか否か,義務違反の程度,回数,期間等が考慮されます。

合意解除

そもそも、契約期間を何年にするかは、フランチャイズ本部と加盟店の合意で決めたものです。

ですから、契約期間満了を待たずに契約を終了させることも、双方が合意しさえすれば、何ら問題なく出来ます。これを合意解除といいます。

通常は、フランチャイズ本部としては、契約が終了してしまえば、契約期間中に入ってくる予定であったロイヤリティ等も入ってこなくなりますし、上述のように、中途解約条項がある場合でも一定の金銭の支払いを条件としている場合が多いことから、無条件に契約を終了させることに合意することは考えがたいところです。

そのため、契約を終了させるとしても、加盟店に対して何らかの金銭の支払い等を求め、これを条件とすることを主張してくることでしょう。

これに対して、加盟店としては、フランチャイズ本部に法的責任を問いうるような事情があって、例えば、これによって被った損害について賠償請求が考えられるようなケースであれば、これを材料にしながら交渉することも考えられます。

また、フランチャイズ本部が主張する違約金等について、当然に支払いに応じなければならないものかという検討も重要になってきます。

債務不履行解除ができるような事情がありそうか(つまり、仮にフランチャイズ本部の合意が得られなくても、契約を終了させられそうか)という点も、当然交渉にあたっては重要な要素となってきます。

フランチャイズ脱退と競業避止義務・守秘義務

どのような方法で契約を終了させるにせよ、問題となるのは、契約終了後の事業展開についてです。

フランチャイズに加盟している人は「フランチャイズを脱退した後は、それまでに培った経験や得た知識を活かせるので、同じ事業をしたい」と考える方が多いと思います。

しかし、ほとんどのフランチャイズ契約書では「フランチャイズ契約終了後に同じ業種の営業を行うことを禁じる条項」(「競業避止義務」といいます)や「フランチャイズ業務において提供されたノウハウや情報などを他者に漏洩しないことを約束する条項」(「守秘義務」といいます)が存在します。これらの条項に違反した場合には損害賠償を請求されることもあります。

では、フランチャイズ加盟者は、フランチャイズ加盟時に培った経験や得た知識を脱退後の自分の事業に活かすことは全くできないのでしょうか。

競業避止義務条項の有効性

フランチャイズ本部(フランチャイザー)としては、フランチャイズ脱退後に同じ業務をされるのは、競合相手が増えるだけで自身に不利益なので、できることなら脱退した加盟者には同じ業務をして欲しくないと考えています。

しかし、地域や年数を問わず同じ業務ができないというのは、脱退した加盟者にとってはあまりにも大きな制約であり、憲法22条が定める職業選択の自由を侵害することになりかねません。

こうした問題は、過去の裁判などでも多数争われ、裁判所は競業避止義務条項自体は有効としつつも「その制限の程度が過度に重い場合には営業の自由を不当に制限するものとして公序良俗に反して無効になる場合がある」としています。あまりに重すぎる競業避止義務の規定は無効になる場合があるのです。

この場合の「過度に重い」かどうかの基準は、当該業種の特性や諸事情を踏まえた上で、「禁止期間が長すぎないか」「地域が限定されているかどうか」等の観点から判断されます。

このように、フランチャイズ契約書の競業避止義務条項が、例えば禁止期間の制限がなかったり、地域も無限定あるいは広域すぎたりした場合には、制限の程度が過度に重く加盟者の営業の自由を不当に制限するものとして無効となるかもしれません。一方で、年数や地域が「過度に重い」とまでは言えない場合には、条項は有効であり、脱退した加盟者は義務を守らなければなりません。

守秘義務条項の有効性

フランチャイズ本部から提供される情報やノウハウのうち、特に価値が高いものについては、加盟中のみならず脱退後も、第三者への交付や使用などを禁ずる規定を守秘義務規定などといいます。

本部としては、業務に関するレシピやノウハウはフランチャイズの肝であり、他者に拡散されるとフランチャイズ自体の価値が失われてしまいかねない死活問題なので、こうした情報(営業秘密などとも呼ばれます)の漏洩拡散を禁ずる守秘義務規定はほとんどの契約書で見られます。

前項の競業禁止とは異なり、営業秘密の守秘義務は、特段の期間の制限が無くても有効と解されています。かつて本部から提供された営業秘密を新たな事業に使用できないとしても、特に営業の自由を侵害するとまではいえないからです。

一方で、どこまでの情報や知識、ノウハウが「営業の秘密」に当たるかは難しい問題です。契約書に明記されたものは明らかですが、多くの契約書では「その他の営業秘密」などという抽象的な表現が用いられており、そういた場合には「どこまでが営業秘密なのか」が難しい問題となります。

裁判例では、クレープのレシピ(卵やミックス粉の配合等)が営業秘密に当たるかが争われた事案がありますが、同裁判では「特に独創的なものとまではいえない」として、営業秘密には当たらないとしたものがあります。

かつては独自性のあるノウハウでもその後広く知られて常識となったような場合にも、もはや当該ノウハウは「営業秘密」とは言えないので、使用しても問題ないでしょう。しかし、どこまで許されるかは業種や情報の内容等に応じてケースバイケースと言わざるを得ませんので、悩ましい場合には専門家に相談されることをお勧めします。

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