フランチャイズ契約の連帯保証人について知っておくべきこと

フランチャイズ契約にあたって、本部から、加盟者の債務(ロイヤリティーの支払い等)を担保する手段として、連帯保証人を立てることを求められる場合があります。

加盟する以上は、これを拒むというわけにはいかないと思いますが、連帯保証人がどのような責任を負うのかについては、正しく理解をしておく必要があります。

そこで、ここではフランチャイズ契約における連帯保証人の意味について整理します。

目次

連帯保証人とは

連帯保証人とは、簡単にいえば、主債務者と同じ義務を債権者に対して負う人という意味です。

フランチャイズ契約でいえば、主債務者は加盟者です。つまり、連帯保証人は、加盟者が本部に対して負う様々な義務を、加盟者とともに負うことになります。

本部としては、たとえば、加盟者がロイヤリティーを支払わないときには、ロイヤリティーを回収するために連帯保証人に対して、ロイヤリティーを支払えと請求することができます。

また、本部が加盟者に対して損害賠償請求をすることが出来る場合には、連帯保証人に対しても賠償金を支払えと請求することができます。

このとき、連帯保証人は、先に加盟者に請求してくれといって支払いを拒むことはできません。

ここが単なる「保証人」と「連帯保証人」の違いの一つで、保証人であれば、先に加盟者に請求してくれと言うことが出来ますが(これを催告の抗弁といいます)、連帯保証人はこのような主張はできません。

また、単なる「保証人」であれば、加盟者に資金があって、取り立てが容易であることを証明すれば、本部に対して支払を拒むことができますが(これを検索の抗弁といいます)、連帯保証人はこのような主張もできません。

このように連帯保証人は、単なる保証人とも異なる非常に重い責任を負うのです。

連帯保証と書面による締結・極度額

連帯保証人になるには、本部との間で、連帯保証契約を書面で締結する必要があります。

また、2020年4月から施行されている民法改正により、連帯保証人が個人である場合には極度額を書面等で明確に定めることが必要となり、極度額を定めていない場合には契約は無効となります(民法465条の2第2項)。

フランチャイズ契約では、わざわざ本部と連帯保証人との間で別個に契約書を作るということはせずに、本部と加盟者が締結する契約書内に「連帯保証」の条項を設けて、連帯保証人を含めた三者で契約を締結するという形を取ることもあります。

連帯保証人の責任の範囲

本部としては加盟者の債務を担保する目的で連帯保証人をつけるよう求めていますので、契約書では連帯保証人が負う責任の範囲として「フランチャイズ契約により加盟者が本部に対する負担する一切の債務」といった内容が記載されることが多いかと思います。こうなりますと、連帯保証人は、フランチャイズ契約上発生する加盟者の債務全てについて責任を負うことになります。

とはいえ、加盟者が支払った分まで責任を負う必要はないので、連帯保証人としてはどのような内容の債務が残っているのかについて、知りたいところかと思います。この点については、連帯保証人が本部側に請求すれば、本部側は元本や利息等について情報提供をするように義務づけられていますので、把握することは可能です(民法458条の2、同の3)。

終わりに

連帯保証人は加盟者とほぼ同じような立場で債務を返済していくことになります。

加盟をする時にはあまり考えが及ばないかもしれませんが、加盟後にひとたびトラブルになれば、多額の支払が問題となり、連帯保証人は非常に重い責任を負うことになります。加盟者だけの問題では済まなくなってくるのです。

したがって、連帯保証人を立てる必要がある場合には、加盟にあたり一層慎重な検討・判断が必要となるといえます。

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執筆者情報

2016年 弁護士登録(愛知県弁護士会)/名古屋第一法律事務所所属
2017年 愛知中小企業家同友会会員
2021年 NPO法人あいちあんきネット理事
2022年 愛知県アーチェリー協会理事
2023年 名古屋外国語大学非常勤講師(企業と社会)
 
労働、相続等の一般民事に加え、スポーツ法務、中小企業法務を取り扱う。経営者と伴走し、法的トラブルの解決や予防法務を通じて、会社や事業の成長・発展に尽力する。

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