フランチャイズの契約内容を変更できるか

私が現在、加盟しているピザ屋のフランチャイズ契約は、年中無休が条件となっています。しかし、休みがないのは厳しく、毎週月曜日を休みにしたいと思い、本部へその旨を伝えたのですが、許可してもらえません。

本部の許可なく、休業日を設けることは、問題があるのでしょうか。

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フランチャイズ契約の意味

新しく事業を始める事業者にとっては、フランチャイズ契約は、本部のブランドやノウハウを利用し、資材調達のルートもあり、宣伝などもしてもらうことによって、少ない資本ですぐに事業を開始できる点で魅力があります。

フランチャイズに加盟する際には、加盟者は本部とフランチャイズ契約を締結します。契約が成立すれば契約当事者は契約内容に拘束されますので、内容は慎重に精査して検討する必要があります。

特に、フランチャイズ本部としては、ブランドイメージを統一したり、商品の訴求力を高めたり、宣伝などを行ったりするため、加盟者の業態が一律でないと都合が悪いという事情があります。例えば、「年中無休!」と大々的に宣伝しているのに、年中無休ではない加盟者があった場合には、宣伝の内容が誤りということになってしまいます。

なので、フランチャイズ契約は、本部にとっては「全てのフランチャイズの加盟者に同じ業態で業務を行わせる」という点で、重要な意味があるのです。

契約の内容を変更できるか

では、たとえば年中無休の契約で休業日を設けるなど、すでに成立したフランチャイズ契約の内容を変更することはできるでしょうか。

民法の原則からすれば、例えば賃貸借契約や売買契約等と同様に、契約当事者の合意さえあれば契約の内容は自由に変更できます。なので、フランチャイズ契約も、本部が応じてさえくれれば、契約内容を変更することは可能です。

しかし、本部が変更に応じてくれない場合には問題となります。

売買契約であれば、例えば価格の変更などで相手と合意できなければ、相手との契約は破棄して、別の契約先を探すことができます。賃貸借契約であれば、家賃交渉が折り合わない場合には、契約更新をせずに引っ越しをすることも考えられます。

しかし、フランチャイズ契約の場合は、話は簡単ではありません。加盟者にとっては、開業時の初期投資、雇用している人、これまでに蓄積したノウハウや経験、獲得した人脈や客層、何より生計のために収入が必要なことを考えると、簡単に「やめる」という選択肢を選ぶことはできないからです。

このように、本部には「全ての加盟者の業態を同じにする必要性」加盟者には「簡単に契約をやめることができない事情」があるため、フランチャイズ契約の内容変更には難しい問題が生じることがあるのです。

契約の内容を守らなかった場合

では、本部と契約内容の変更合意ができないまま、加盟者が契約内容と異なる業務を行うとどうなるでしょうか。

フランチャイズ加盟者は独立事業者であり、会社員とは違って本部に雇用されているわけではありませんので、本部が加盟者に解雇や懲戒処分などを行うことはできません。

その代わりに、フランチャイズ契約書には、契約内容に違反した場合の罰則が定められている場合がほとんどです。その多くは「違約金」「罰金」ですが、場合によっては「契約解除」などの厳しい条件が定められていることもあります。

もし契約を「解除」されてしまうと、今後はそのフランチャイズ本部で事業を行うことはできなくなります。そうなると、これまでの初期投資は無駄になり、収入も得られなくなりますので、解除されることは避けなければなりません。

ではどうすればよいか

このような問題を回避するためには、一番良いのは「契約を締結する段階で、契約内容をしっかり確認する」ということです。契約前の段階であれば、内容に問題がある場合には他のフランチャイズ本部との契約を検討することもできます。

契約締結後であっても、まずはフランチャイズ本部と粘り強く交渉しましょう。フランチャイズ契約の内容があまりにも加盟者に酷なものであれば、裁判所が無効と認定する場合も全くないわけではありません。

特に近時は、コンビニエンスストアなどのフランチャイズ契約で、営業時間の短縮などの問題が注目されています。フランチャイズ本部も、加盟店を増やしたい、ブランドイメージを悪くしたくない、との思惑から、変更交渉に応じてくれる場合もあるかもしれません。

しかし、本部側としても特別扱いをすると他の加盟者から苦情が出るかもしれないなどの事情により、交渉は決して容易ではありません。こうした交渉では、弁護士に相談した上で、しっかりと交渉をしていく必要があります。

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執筆者情報

1994年 三井海上火災保険株式会社入社(現 三井住友海上火災保険株式会社)
2011年 弁護士登録(愛知県弁護士会)/名古屋第一法律事務所所属 

交通事故を中心とした一般民事を広く取り扱う。弁護士になる前は損害保険会社で勤務しており、中小企業や事業者の目線を大切にしたいという気持ちから、商取引全般、特に中小企業や個人事業者に関する法的トラブルに積極的に取り組んでいる。

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