フランチャイズに関連する法律~中小小売商業振興法と独占禁止法

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弁護士 堀居 真大

平成23年12月 愛知県弁護士会登録/名古屋第一法律事務所所属

当サイトで多数の記事があることからわかるとおり、フランチャイズ本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の間では、加盟店の本部に対する立場が弱いことなどを原因として、さまざまなトラブルが起こります。

現在、日本の法律では「フランチャイズ」と名がつく法律はありませんが、フランチャイズの問題については中小小売商業振興法や独占禁止法が役立つことがあります。

中小小売商業振興法

中小小売商業振興法とは

中小小売商業振興法は、そもそもは、商店街の整備・店舗の集団化・共同店舗等の整備等を通じて、中小小売商業者の経営を近代化することで、中小小売商業の振興を図り、それにより、多様化する国民(消費者)のニーズに応えることを目的とした法律です(同法1条)。

もっとも、同法11条で「特定連鎖化事業の運営の適正化」について定められています。「連鎖化事業」はいわゆるチェーン事業を意味しますが、この連鎖化事業にはフランチャイズ事業も含まれており、フランチャイズシステムを特に「特定連鎖化事業」として、主に本部に対して様々な義務を定めることによって、事業の適正化を図っているのです。

フランチャイズ本部に課せられた義務

同法は、特定連鎖化事業を行う者(フランチャイズ本部ですね)に対して、加盟しようとする者(加盟店ですね)に対し、下記の事項後を記載した書面を交付した上で、さらに記載事項について説明をしなければならない、と定めます(同法11条)。

  一 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項
  二 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
  三 経営の指導に関する事項
  四 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
  五 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項
  六 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

つまり、加盟時に、ロイヤリティや販売条件、経営指導の内容などについて、書面を交付したうえでさらにしっかり説明をしなかった場合には、中小小売商業振興法に反し違法となります。

特にロイヤリティ等の金銭に関する事項(1号)は重要です。小さな字で難しい内容の契約書だけ交付され、内容について説明がされなかった場合に、後で説明されていない金銭の支払いを本部から要求された場合には、加盟店は同法11条1項違反を主張して争うことが可能です。

中小小売商業振興法の改正内容

さらに、フランチャイズビジネスの増加、本部に求められる役割の強化などの観点から、同法は2021年4月1日に改正され、上記の説明事項に「加盟者の店舗のうち、周辺の地域の人口、交通量その他の立地条件が類似するものの直近の三事業年度の収支に関する事項」が追加されることとなりました(施行は2022年4月1日)。

店舗で業務を行うフランチャイズビジネスについては、近隣の人口や交通量などの市場データが極めて重要ですが、事業に新規参入する加盟店にはそうしたデータを分析、判断するノウハウがありません。一方で本部としては、加盟店が持続的に事業を継続できなかったとしてもさしたる損害はないので(むしろ、その間のロイヤリティ収入などの利益を得られます)、十分な分析をせず、あるいは分析してもその内容を十分に加盟店に説明しないケースが増えました。

このようにして、本部の説明不足による加盟店の乱立、加盟店の事業終了による損害などが問題視され、上記の改正が加わることとなったのです。

「三事業年度分の収支に関する事項」の「書面による」説明を本部に義務付けることは、事業を少しでも長く継続したいと考える加盟店にとって大きな意義があります。

また、フランチャイズ本部の情報提供義務違反による損害賠償の事例が多発していますが、こうしたフランチャイズ本部が負う情報提供義務の現れの一つとして大きな意味があります。(フランチャイズ本部に対する損害賠償請求(情報提供義務違反)

独占禁止法

独占禁止法とは

独占禁止法という法律は、正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、フランチャイズに限らず広く商取引全般において公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにして、市場メカニズムが正しく機能することを目的とした法律です。

フランチャイズ本部と加盟店の関係についても、法律的には加盟店は本部とは別個の独立した事業主なので、その取引関係に関しても独占禁止法が適用されるのです。

独占禁止法が適用される局面

ぎまん的顧客誘引の禁止

独占禁止法の第2条第9項が禁止する不公正な取引方法は、別の法規である「不公正な取引方法」(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)で詳細に規定されており、同8項は「ぎまん的顧客誘引」を禁止しています。

具体的には、本部が加盟者の募集に当たり,例えば事業活動における一般的な経済動向や市場環境などの重要な事項について十分な開示を行わず,又は虚偽若しくは誇大な開示を行うなどして、実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良又は有利であると誤認させるなどして不当に誘引する場合は,「ぎまん的顧客誘引」に該当し、独占禁止法違反になると解されています。

抱き合わせ販売等の禁止

同じく「不公正な取引方法」の10項は「抱き合わせ販売」(不当に、商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させたり取引したりするように強制すること)を、12項は「拘束条件付取引」(取引の際に相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて取引すること)を禁止しています。

具体的には、ノウハウの提供の際に、加盟店が特に希望していない商品や原材料などを購入することを条件にしたりするなどして購入を強制させることが典型的です。

販売価格の制限

独占禁止法第2条第9項第4号は、相手方の販売価格の自由な決定を拘束することを「販売価格の制限」として禁止しています。

具体的には、競合する他の事業者がより安価で販売していたり、売れ残りなどで値下げが必要だったりする場合においても、本部が加盟店に商品を供給している場合にその値下げを禁じたりして拘束することが該当します。

優越的地位の濫用

独占禁止法第2条第9項第5号は「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること」を「優越的地位の濫用」として「不公正な取引方法」として禁止しています。

具体的には、本部が加盟者に対して取引上優越した地位にあることをいいことに,加盟者に不当に不利益となるように取引の条件を設定あるいは変更したりして取引を実施する場合です。商品や原材料の注文先を割高な特定の取引先に限定させたり、返品できないのに仕入れ数量を無理やり決めさせられたり、廃棄による損害がは加盟店に生じるにもかかわらず見切り販売を禁止したりする場合などがこれに当たります。

フランチャイズガイドライン

本部と加盟者の取引において、どのような行為が独占禁止法上問題となるかについては、公正取引委員会が「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(フランチャイズガイドライン)を公表しています。

フランチャイズガイドラインは何度かの改正を経ていますが、直近の改正は、令和3年4月28日に行われています。

フランチャイズガイドラインとは

2021.09.10

独占禁止法違反の効果

独占禁止法違反に違反する本部事業者に対しては、そうした違反行為を速やかに排除するよう命じる「排除措置命令」という行政処分が公正取引委員会から命ぜられることがあります(独占禁止法第20条)。
さらに、優越的地位の濫用行為が行われた場合には、違反行為に対する課徴金が課せられる場合もあります(同20条の6)。

フランチャイズ契約との関係について

このように、フランチャイズといっても、それぞれが独立した事業者である本部と加盟店との間では、独占禁止法が適用され、上記に挙げたようなことが同法に抵触し得ます。

しかしながら、上記行為に該当すればただちに独占禁止法違反になる、というものではありません。同行為が、本部と加盟店との間で締結された契約内容や違反の程度、加盟者に生じる効果などの観点から「不当」「不公正」と判断される場合に同法違反となります。

もっとも、加盟店は本部に対して立場が弱く、不当な条件を付けられたり不公正な取引を強いられることも珍しいことではありません。本部の行為が独占禁止法違反ではないかと思われた場合には、まずは弁護士に相談してみることをお勧めいたします。

フランチャイズの法規制について

今日の経済社会においてフランチャイズビジネスは広く普及していますが、「フランチャイズ」との名称が付された法律はいまだ日本にはありません(海外では多くの国が制定しています)。

賃貸借契約や労働契約と同様に、知識やノウハウのない加盟店は本部に対して圧倒的に立場が弱く、それでいて加盟店にとって事業継続は生計に直結する極めて重要な問題です。

そうしたことから、フランチャイズビジネスにおける加盟店保護の法規制は今後も進展していくことが予想されます。また、このような法の整備によって、本部との紛争や交渉がより加盟店に有利となっていくことが考えられます。

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