フランチャイズ本部が必要な指導やサポートをしてくれない場合(指導援助義務違反)

加盟店(フランチャイジー)がフランチャイズ契約を締結する主要な理由の一つに「フランチャイズの経営ノウハウの提供を受けることができること」があります。

加盟店は、経験のない業種であっても、フランチャイズ本部(フランチャイザー)から経営や運営のノウハウを教えてもらうことを期待して、安心して加盟することができます。だからこそ、フランチャイズ本部は加盟店に「適切な指導や援助を行うこと」を謳い文句に加盟店を募集し、加盟店はフランチャイズ本部に決して安くないロイヤリティを支払うのです。

逆に、加盟店が経営や運営のノウハウを持たない場合には、本部からの適切な指導やサポートがなければ、加盟店の経営が立ち行かなくなることもあります。そのような場合に、加盟店が本部に責任追及ができるのか、が問題となります。

指導援助義務の内容

フランチャイズ契約の契約内容は加盟時に契約書で定められます。そして、多くのフランチャイズ契約書には本部の加盟店に対する指導援助義務が定められています。経営ノウハウの提供がフランチャイズ契約の一つの本質であることを考えれば当然のことでしょう。

しかし、契約書に指導援助義務の規定があっても、その記載内容は具体的でない抽象的なものであることが少なくありません。このような場合に「本部は加盟店にどこまで指導援助義務を負うのか」が問題となります。

指導援助義務違反を認めた裁判例

一般論として、指導援助義務の内容は業態の特殊性や規模などによって多様で、一律同じではありません。したがって、指導援助義務の内容も、事例によってケースバイケースということになります。

東京高裁平成21年12月25日判決は、大衆的な食堂のフランチャイズにおいて、フランチャイズ本部にはスーパーバイザー(SV)と呼ばれる指導担当者がいたところ、実際にSVが加盟店に数箇月に1回しか臨店せず,次の臨店日時も分からないため継続的な指導ができず,メニューの改善や原価を下げるための調理指導もせず,思い付きを言うだけで具体的な改善策の指導がなく,他店での成功例を話すが当該店舗の実情に即した具体的指導がなかった、などを理由として「系統的かつ具体的な経営指導の能力がなかった」ことを理由に、加盟店が本部に損害賠償を請求した事例です。

これについて裁判所は

「経営指導について専門性のあるSVを必要な人員だけ揃える努力をすることを契約の準備段階から完全に怠り,SVの多くをチェックリスト項目の形式的チェック(これ自体は専門性を有する業務とはいえない。)しかできないような経験と能力に乏しい若手社員をもって充て,SVの研修,教育に費用と時間をかけることも怠ったまま,このような若手社員SVを中心に加盟店への臨店をさせたにとどまるものである。」

「経営指導を行う債務は,一定の結果を実現することを債務の内容とするものではないことを考慮に入れても,このように最初から専門性のあるSVの即戦力採用も社内育成も十分に行わず,加盟店の多くが専門性の乏しい若手社員のSVの臨店しか受けることができない状態を続けることは,経営指導義務の債務不履行に該当する」

として、経営指導義務違反を理由とする損害賠償債務を認めています。

この他にも、平成17年2月15日東京地裁判決は、パンケーキ店のフランチャイズの事例ですが、裁判所は、指導員の派遣等が適切になされていなかったこと等を理由として本部の債務不履行(指導援助義務違反)を認めています。

指導援助義務違反を認めない裁判例

一方で、指導援助義務違反を認めない事例も多々あります。

大阪地裁平成8年2月19日判決はコンビニエンスストアのフランチャイズにおいて本部の指導援助義務違反が問題となりました。この事例では、本部が一通りの研修や指導を行っており、にもかかわらず加盟店は経営が行き詰ってしまったのですが、裁判所は本部が一定の必要な指導援助を一応履行していたとして、加盟店による損害賠償請求を認めませんでした。この裁判例の他にも、指導援助義務違反を認めない裁判例は多数あります。

判断の難しさ

フランチャイズ契約は、業務経験の乏しい加盟店が、経営・運営ノウハウを提供されることを期待して、高額なロイヤリティーを支払うものですから、本部が加盟店に一定の経営指導を行う義務を負うのは自然なことです。

募集時には甘い言葉を並べてフランチャイズへの加入を呼びかけておきながら、加入した後は加盟店に何の指導援助もしない本部に対して、加盟店が指導援助義務違反の責任を追及するのも当然といえます。

しかし「どのような場合に指導援助義務違反が認められるか」は難しい問題です。指導援助義務の程度や内容は、フランチャイズ契約によって多種多様です。そして、生じた不利益と「指導援助義務の不足」との間の因果関係の立証も容易ではありません。こうした判断においては、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めいたします。

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