フランチャイザーによる契約解除と標章使用の差し止め

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事案の概要

Aは、Bとの間で有名バーガー店の店舗営業を許諾すること等を内容とするフランチャイズ契約を締結し、店舗の営業権として約2億円を支払って、店舗を経営していましたが、Bに対するロイヤルティ料及び広告宣伝費の支払いを遅滞させるようになりました。

そこで、Bは、Aに対して、フランチャイズ契約の解除する旨の意思表示をして、未払いのロイヤルティ料等を請求したほか、解除により標章の使用が不正競争防止法2条1項2号に該当するとして、同法3条に基づき、使用の差し止めを求めました(東京地判平成18年2月21日判タ1232号314頁)。

フランチャイズ契約の解除の可否

フランチャイズ契約は、継続的契約であることから、軽微な債務不履行による解除であっても有効であるとすれば、経済的弱者であることの多いフランチャイジーにとって投下資本を回収できず、経済的打撃も大きくなります。

そこで、債務不履行があっても、契約当事者の信頼関係が破壊されているような事情が無い限り、解除権の行使を認めないとする裁判例が少なくありません。

本件では、フランチャイジーであるAが繰り返しロイヤルティ料等の支払を遅滞したこと、Bが解除に踏み切る前に慎重に調査を重ねた結果、Aの業務改善が見込めないと判断したこと、Bが解除の意思を示した後もAは営業を継続し、BがAの営業停止に伴う顧客の不便に配慮して申し立てた民事調停も不成立に終わったことを認定し、Aの対応は、Bがフランチャイズ契約の継続の機会を与えたことに対する背任行為であって、信頼関係を著しく破壊するものであるとして、解除を認めました。

不正競争防止法2条1項2号に該当するか否か

不正競争防止法2条1項2号は、「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為」が「不正競争」に当たると規定しています。

フランチャイズ契約が解除されたとすれば、Aには、Bの商標を使用する権利はないのですから、本条項に該当することは当然です。

なお、フランチャイズ契約終了後に、フランチャイザーがフランチャイジーに対して商標の使用を止めさせる際の法律構成としては、フランチャイズ契約違反、商標法違反、不正競争防止法違反などが考えられ、複数主張されることもあります。

最後に

今回の事例は、フランチャイズ契約の解除が認められるか否かがポイントであったように思います。

既にロイヤルティ料等の未払いが生じている以上、Aの立場からすれば、訴訟に至る前の交渉や民事調停の中でソフトランディングする方法を考えた方が得策であったと考えられる事案です。もっとも、当事者が紛争に巻き込まれたときは冷静ではいられません。そんな時こそ、早期に専門家へ相談し、第三者的視点を入れることが大切です。

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執筆者情報

2014年12月 弁護士登録(愛知県弁護士会所属)/名古屋第一法律事務所所属

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