弁当宅配のフランチャイズ契約における競業避止義務規定が有効とされた例

The following two tabs change content below.

契約終了後も適用が続く競業避止規定は、フランチャイザーの財産である経営ノウハウを保護するために、フランチャイズ契約において盛り込まれることが多い規定です。

もっとも、契約終了後まで適用されてしまう競業避止規定は、フランチャイズ契約が終了した後であっても行うことができる仕事の範囲が限定されてしまうことから、フランチャイジーの職業選択の自由ないし営業の自由への不当な制限となり得るものといえます。そのため、多くの裁判において競業避止義務に関する規定の有効性が争われています。

今回は、競業避止義務規定が有効とされた大阪地方裁判所平成22年1月25日判決をご紹介します。

事案の概要

本件では、フランチャイザーXとフランチャイジーY1との間で、高齢者向け弁当宅配業のフランチャイズ契約が締結され、3年の契約期間満了によって当該契約は終了しました。Y1は、契約終了時において、同エリアの新たなフランチャイジーに顧客を引き継ぐことを了承していましたが、契約終了後も、屋号のみ変更して、同一店舗において弁当宅配業を続けていました。

そこで、Xが、Y1及び連帯保証人Y2に対して、フランチャイズ契約上の競業避止義務違反等を理由として、同種営業の差止めと、約定損害金の支払いを求めて、訴訟を起こしました。これに対して、Y1及びY2は、競業避止義務規定が無効であると争いました。

競業避止義務規定の有効性

規定の内容

本件で問題となった競業避止義務規定は、次の内容となります。

Y1はフランチャイジーの権利を喪失した後は、原告と同一若しくは類似の商標ないしサービスマークを使用し,あるいは・・・フランチャイズシステムと同一若しくは類似の経営システムないし営業の形態・施設を持って3年間は事業をしてはならない。

前項に違反した場合、解除日直近の12ヶ月間(12ヶ月未満のときは経過月)の店舗経営の実績に基づく平均月間営業総売上(1ヶ月未満のときは原告の示す初年度の予想平均月間営業総売上)に対し、・・・・本部ロイヤリティー相当額の36ヶ月分を支払う。

規定の趣旨目的の合理性

裁判所は、この規定について、

Xが高齢者向け宅配弁当事業の業界で有力な企業であり、業界内で一定の評価を受けている

Yらは、本件フランチャイズ契約を締結する前までは弁当宅配事業を営んだ経験がなく、Xのフランチャイズシステムなくして、容易に事業に参入できたとは考えがたい

本件フランチャイズ契約において、Yらと同一地域に同一業態によるフランチャイズ営業を認めないこととされており、Yらは、当該地域において独占的に事業展開することができた

との事情を踏まえ、同業他社との差別化ができているXのノウハウの流用防止の観点から、規定の趣旨目的に合理性があると判断しました。

フランチャイジーの不利益

他方で、Yらが被る不利益については、

競業避止義務期間が契約終了後3年間であること

対象がフランチャイズシステムと同種のものに限定されていること

に加え、

この裁判においてXが求めた営業差止めの対象地域が本件フランチャイズ契約においてYらが事業を行うことを認められていた範囲に限定されていること

も考慮されて、Y1の被る営業の自由の制約等の不利益は、相当程度緩和されていると判断されました。

また、Yらが被る経済的不利益(生計を立てることが困難となる、店舗の建物賃借権が無価値になるなど)についても、上記規定の趣旨目的に照らすと、XがYらの競業行為による不利益を甘受すべきものではなく、むしろ、フランチャイズ契約を自ら解消したことによる結果であると判断されました。

Yらは、公序良俗違反を基礎づける事情としてXの契約時における債務不履行など色々な事情も主張していましたが、裁判所は、その大半が認定できないとし、XがY1の店舗に配送した食材の一部に不備があった旨の主張については、仮にこの事実があったとしても、公序良俗違反と根拠づける事実ではない旨を判断しています。

以上の判断を前提として、裁判所は、本件の競業避止義務規定について、Y1の営業の自由等を過度に制約するものとはいえず、公序良俗に違反し無効であるとはいえない(=有効である)、と判断しました。

まとめ

このように、本件は、主に、フランチャイズ契約によって提供されたノウハウの特殊性に加え、制限される範囲、すなわちYらが被る不利益が限定的であることに着目して、競業避止義務規定が有効であると判断された事例です。

裁判所では、競業避止義務の規定の有効性に関して、フランチャイザーが提供するノウハウの特殊性や競業期間の長さ、範囲といった部分が重要な判断要素となっていることがわかる事例となっています。また、競業避止義務規定の合理性の判断にあたっては、テリトリー権の有無も考慮されています。

なお、連帯保証人Y2に対する営業差止めの請求は、不代替的債務であるとして、認められませんでした。

≪関連ページ≫
フランチャイズの脱退と競業禁止規定

フランチャイズのトラブル事例~失敗しないために知っておきたいこと

 フランチャイズ法律相談

 損害賠償、解約、競業トラブルなど
 ZOOM相談も可能です

ご予約・お問い合わせはこちらから>>